こんにちは。
このたび、新しく「ひだまり流 筆文字講座」を開講することになりました。
この場所では、
私が筆文字と出会ったこと、
なぜ「ひだまり流」というスタイルにたどり着いたのか、
そしてこの講座をどんな人に届けたいと思っているのか――
少しずつ、丁寧に、想いを込めて綴っていきたいと思います。
◆ 筆文字との出会いは2019年
私が筆文字に出会ったのは、2019年のことでした。
それまで私は、習字を長く学んできました。
小学生の頃から通い始め、中学・そして社会人になってもなお、
筆を持ち続けてきました。
そこには、つねに「お手本」がありました。
“はね”や“止め”、“払い”の正しさを求められ、
昇級・昇段のために練習を重ねる日々。
それはたしかに励みにもなり、自信にもつながったけれど、
どこかで私は「もっと自由に書きたい」と感じていたのかもしれません。
「自由に書く」という心の解放
筆文字に惹かれたのは、その「自由さ」でした。
それまでの私は、書道におけるルールの中で「正しさ」ばかりを追いかけていたように思います。
でも、筆文字は違いました。
大切なのは“気持ち”。
線の太さも、形も、ちょっとしたゆがみも、ぜんぶその人らしさになる。
その自由さに、私は心の底から開放された気がしました。しかも、道具は1.8センチほどの筆の長さの筆ペン一本。
机に向かわなくても、気が向いたときにさっと書ける手軽さ。
それがまた、筆文字との距離をぐっと近づけてくれました。
「この自由さを、もっとたくさんの人と分かち合いたい」
そう思って、私は筆文字を伝える活動を始めました。
「自由に書いて」と言うことの難しさ
2021年、私は「筆文字あそびオンライン講座」をスタートしました。
筆文字に加えて、絵も描いて楽しむ内容で、
“描いて書く”をテーマに、多くの方と筆文字の時間を共有してきました。
当初は、思った以上に反響もあり、
毎回の講座がとても楽しく、充実した時間でした。
ですが、講座を重ねていくうちに、ひとつのズレが見え始めたのです。
「絵を描くだけでいっぱいいっぱい」
「もっと文字を書きたいけれど、時間が足りない」
そんな声や空気が、少しずつ感じられるようになりました。
私自身も、絵を描くことに時間をかけすぎてしまい、
本当に伝えたい「筆文字」をじっくり教える時間を確保できなくなっていたのです。
“自由に書いてください”と言いながら、
受講生のみなさんは「どう書いたらいいの?」と迷っていた。
私は、「あなたの字でいいんだよ」と繰り返してきました。
でも、それはきっと、とても不親切な言葉だったのかもしれません。
自由にたどり着くために「真似る」ことから
ある日ふと、こんなことに気づきました。
「もしかして、みなさんは“私の字を真似したい”と思ってくれているのでは?」
それまで私は、受講生一人ひとりが「自分らしい字」を書けるようになってほしいと願ってきました。
けれど、自由というのはときにとても不安で、難しいものです。
ゼロから自分を表現するのではなく、
「この字、好き」と思えるものをまずはなぞってみる、真似してみる。
そこから、“自分らしさ”が少しずつ育っていく。
そんな道筋もあっていい。
いや、むしろそのほうが自然なのかもしれない――
そう思うようになりました。
だから「ひだまり流」なんです
そこで私は、今回「ひだまり流」というスタイルであらためて筆文字講座をはじめることに決めました。
この講座では、私が書いた字を“真似る”ことから始めます。
なぞりながら、なぞりながら、自分の中の“好き”や“癖”を発見していく。
そして、そこから少しずつ、自分だけの表現に広げていく。
私はその過程を、そっと見守り、必要なタイミングで背中を押していく存在でありたい。
この講座は、そんなふうに「まねぶ」→「自分らしさをひらく」場所として設計しています。
この講座が目指すもの
私はこの講座を、ただ「字を学ぶ場所」にはしたくありません。
ここで目指したいのは、“心が安心できる居場所”です。
- 自分のペースで進められること
- 自分の気持ちを否定しないこと
- 表現することを怖がらず、自分を出すこと
そんな力を少しずつ育んでいけるような、
静かであたたかな“ひだまり”のような空間を目指しています。
すぐにうまく書けなくて大丈夫
どう伝えていこうか、私自身もまだ悩んでいるところです。
正直に言えば、1回の講座で「書けるようになる」とは思っていません。
何事もそうですが、大切なのは“継続すること”。
続けていくことで、少しずつ「楽しい」が増えて、「表現すること」が怖くなくなっていきます。
毎月の単発講座に加えて、
2025年7月からは、3ヶ月単位で学べる継続コースもスタート予定です。
焦らず、比べず、
じっくりと自分と向き合いながら学びたい方には、きっとぴったりの時間になるはずです。
長い目で、あなたと「ひだまり流」がつながっていけたら、これほど嬉しいことはありません。
最後に
筆文字に出会ってからの6年。
私なりにたくさん悩み、迷い、試してきました。
でも今、ようやくたどり着いたのが、
この「ひだまり流 筆文字講座」です。
この講座が、
あなたが「ここにいていいんだ」と思える場所になりますように。
そして、筆を通して“自分らしさ”と出会う時間となりますように。